President
TATSUKI TANIOKA
社長
谷岡 樹
私が教習指導員資格を取得したのはもう30年ほど前になります。インターネットという言葉がようやく出てきたくらいの頃で、予約は教習所に足を運んで取るのが当たり前の時代でした。当時勤めていた京都の教習所は学生の街ということもあり、教習生は大学生がほとんどで朝から晩までびっしりと予約が埋まっていました。その日の予定は出社時にプリントアウトしたものが配られ、担当する車と担当する教習生を確認して、1日がはじまる、そんな毎日でした。
歳の近い大学生たちと楽しく教習という名の「仕事」をしていたのですが、ある 日私に転機が訪れます。それはMT車の免許取得を希望しているけど、左足に障害があり、うまくクラッチペダルを踏めない男性を、入学から卒業まで ずっと担当して欲しい、という話でした。確かに指導員がコロコロ変わって担当すると教え方に差異があり、無駄に時間がかかってしまう恐れがあります。私は予約のスケジュール管理から、教え方の工夫、どんな練習をして左足の感覚をつかんでもらうか?先輩にアドバイスをもらいながら教習を組み立てました。挫折しそうにもなりましたが、その都度彼と話し合いました。そしてハンディキャップがありながらも懸命の努力で、AT車に変更することなく見事に1回で卒業検定に合格された時は自分のことのように嬉しく、初めて これが「仕事」なのかと心が震えた瞬間を経験しました。
仕事を「任せて」いただけたことに対して「嬉しさ」と「不安」の入り混じった当時の不思議な感覚を未だに記憶しています。きっと今も、車は彼の脚となって、彼の人生を豊かにしていると信じています。
ちなみに私は18歳で普通車免許を取得しましたが、免許取得以来プライベートではAT車しか運転したことがなく、MT車で実施される指導員審査に受かるためにかなり陰で練習したことを憶えています。今はほとんどの方がAT限定免許を取得されますし(弊社では、AT限定免許8:MT免許2の割合)、面接に来られる方もAT限定免許がほとんどですが、私のように秘密の朝練をすることなく先輩が親切にMT車の運転を教えてくれるのでご心配なく。いい時代になりましたよね。
この仕事に就く方は、少し前までMT車でエンストしていた人間が運転を教える仕事なんて絶対できるはずないと思っているかもしれません。でも実は指導員の仕事というのは運転技術を教えるというよりも、どうやったら事故にあわないのか(あう確率を減らせるのか)、 どうやって自分や同乗者を守るのか、ハンドルを握る時はどんな心構えでいるべきなのかといったマインド的な部分が多いことに気が付いていきます。技能的なことは慣れが圧倒的に必要ですので、最初からうまく曲がれたり、止まれたりする方はほとんどいません。しかし、失敗を繰り返していくうちにだんだんと形になってくるのです。
そのために広いコース があるのですから当たり前ですよね。(ちなみに指定教習所のコース面積は8000㎡以上と決められているのです←指導員審査によくでます)30年ほど前とは違い、今はインターネットが普及してお客様の予約やキャンセルが24時間いつでも可能な時代になりました。ネット予約であれば、かなりの確率で予約は埋まり、無駄な時間は生まれなくなるかもしれません。しかし八戸ノ里ドライビングスクールでは、あえてお客様の予定を聞き取り、指導員が予定を組むことを基準にしています。またできる限り最初から最後までお客様を担当して卒業まで導くことを基本的な考えにしています。普通の教習所よりもかなり「めんどくさい」会社かもしれません。それでも私は「仕事を任せていただく喜び」をいつまでも感じてもらえる会社でありたいと思っています。お客様が卒業され、ハンドルを握って交通社会に出る。あの時、あの指導員に注意された、教えてもらった、褒めてもらったことがお客様の心の中に生き続けることが、交通事故のない安全な社会を作り出せると信じているからです。
このシステムを採用して20年あまり、八戸ノ里ドライビングスクールは「駅から近い、便利な教習所」から「指導員が親切でやさしい、面倒見のいい教習所」に生まれ変わりました。 近隣に4つの大学があり少子化の影響を受けにくい立地に建っていることも大きなメリットで大阪で1番の卒業生を輩出している秘密は実は指導員の魅力にあると断言できます。エントリーシートを書いていただくにあたって「運転が得意」「ドライブが大好き」であ る必要はまったくありません。私たちの会社が必要としている人材は「人のために本気で向き合うことができる、おもいやりのある人」です。あなたと一緒に世の中に役立つ「仕事」が できることを楽しみにしています。